北米開教区

2020年2月~2021年1月 LA社会の動向と寺院の活動

[報告]  2026/10/13

通常2月はロサンゼルスはじめシカゴとラスベガスでの春彼岸法要の準備に追われる時期です。当初はまだ通常通り法要が可能と考え、案内を発送していました。しかし3月12日、感染者激増によりロサンゼルス市長が同日深夜からの「外出禁止令」施行を発表、すぐにカリフォルニア州知事も同様の命令を発布しました。これにより日常生活は一変、ロサンゼルスの春彼岸法要は総監・開教使のみで勤め、移動制限によりシカゴとラスベガスでのお彼岸は中止せざるを得ませんでした。病院や敬老施設への慰問は禁止され、葬儀は人数制限のもと短時間で室外にて、棺の蓋を開けない形でのみ許可されました。とはいえ、他州在住の遺族が集まれないため、家族の死後、長期にわたり葬儀を営めない状況が続きました。

約数ヶ月の間、営業を許されたのはスーパー・薬局・病院など生活に最低限必要な施設のみで、必要時以外は自宅で過ごさねばならない生活が続きました。しかし、本院のあるダウンタウンのスキッドロウ界隈は常にホームレスで溢れ、ゴミ・糞尿等の汚物被害に加え、落書き・投石等の損壊被害が絶えません。落書きを一つ放置すればすぐに増殖するように、景観悪化はさらなる治安悪化を招きます。自宅待機も束の間、総監・開教使は感染防止のため一日ずつ交代で寺に赴き、内外の清掃にあたる日々が続きました。

そんな中、5月16日(土)夜間、ダウンタウンのスモークショップで爆発が起き、消防員が負傷するという火災事故が発生しました。本院も火元に近く延焼の恐れがありましたが、幸い被害は逃れました。一方、5月下旬のメモリアル・デイ(戦没者追悼日)を経て、宗教施設の再開に関するガイドライン5項目の発表がありました。

  1. 参詣者数は収容人数の25%か最大100名までのどちらか少ない方
  2. 館内に6フィートを示す目印をつけ、参詣者は前後一列ずつ開けて着席
  3. マスク着用・ソーシャルディスタンシング・手洗いを奨励するサインを掲示
  4. ドアノブなど共用のエリアの表面を除菌
  5. 人が集まる場所にハンドサニタイザーを設置

これにより、7月のお盆・お施餓鬼は「何とか本堂で参詣者と共に勤められる」との期待が高まりました。

ところが同じく5月下旬、全米を揺るがす事件が起きました。ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性が白人警官に拘束された際に窒息死し、すぐに人種差別を訴える抗議活動が州を越えて拡大、昼夜を問わず各地の抗議活動が報道される事態となりました。「感染拡大防止のため、誰もが極力外出しない」という社会的努力に従事している最中の出来事です。抗議活動は個人の権利であり共感は禁じ得ないとしても、このような状況下での集団抗議活動は不要不急か否か、また抗議活動への制限は人権への不当干渉か否か、メディアでもさかんに論じられました。さらに、事件への純粋な抗議のみならず悪質な運動も増え、やがて「Defund the Police」と銘打ち、警察への予算廃止を訴えるデモへと過激化しました。特にリベラル色の濃い州で激化し、南カリフォルニアでは抗議に便乗した破壊活動や強盗が横行する事態に至りました。ダウンタウンでは警官隊が静観する中、道には火が放たれ、暴徒が薬局やスーパー、モール店舗の外壁を破壊して侵入、薬品や高級品を奪い車で逃走する様子が毎夜のように報道されました。略奪行為のため他州からロサンゼルス市に来た暴徒も多かったといい、ついには暴動鎮圧のため州兵が動員され、市内の辻々に州兵が立ち並ぶ戒厳令の事態に至りました。

非常事態の中、6月恒例の上半期大掃除は中止、お盆・お施餓鬼法要は2週間延期し、ガイドラインに沿った条件で勤めるよう準備にあたっていました。しかし、戒厳令明けの感染拡大によりガイドラインは撤回され再び行動制限が発令され、お盆は無人の本堂で総監・開教使のみで勤め、檀信徒はズームで参加する形となりました。その後の秋彼岸・十夜・除夜の別時・2021年1月の御忌まで、同様の形でのリモート法要を余儀なくされました。

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