南米開教地

2025年6月 南米開教70周年記念法要とクリチバ日伯寺落慶法要

[報告]  2026/10/13

2025年6月、南米開教の歴史を顕彰し、またブラジルで4ヶ寺目となるクリチバ日伯寺を落慶するという勝縁に恵まれました。サンパウロ別院では大本山清浄華院御法主飯田実雄台下ご親修の開教70周年記念法要を、またクリチバ日伯寺では浄土宗宗務総長川中光敎師お導師のもと落慶法要を勤めることができ、光栄の至りでした。おかげさまで国内の檀信徒、そして日本より浄土宗を代表する来賓や多くの浄土宗僧侶の方々をお迎えし、二つの法要は喜び溢れる祝祭となりました。

6月6日、サンパウロでの記念法要では飯田台下による先亡開教使のご回向において、特にブラジルでの浄土宗寺院創建に生涯を費やされた長谷川良信初代総監・佐々木陽明2代総監の尽力が顕彰されました。飯田台下はまた、この70年間、ブラジルの3ヶ寺の護持興隆に貢献された檀信徒を讃えられました。今回のお祝いにあたり、このように先亡の方々の尽力が顕彰されたことを私たちは大変有り難く思います。彼らの不断の努力なくして、70年にわたる教化活動の継続とクリチバ日伯寺という4番目の寺院建立はあり得ませんでした。

さて、開教70周年記念法要では、ブラジルにおける浄土宗の足跡とクリチバ日伯寺建立を祝い、飯田台下による特別揮毫が披露されました。参詣者が畏敬の念と共に見つめる中、まず飯田台下は静かに、しかし確固たる様子で「慈」と「悲」の二字をしたため、「慈」は友情、「悲」は思いやりを意味し、合わせて「慈悲」であると説明されました。浄土教において、「慈悲」は時空を超越しすべてのものに注がれる阿弥陀仏の大慈悲と捉えられます。70年後の今日の祝祭に私たちを導いた最初の根源的な事象に思いを馳せる時、台下のお言葉はこれ以上ない啓発となりました。それは正に、ブラジル最初の浄土宗寺院であるサンパウロ日伯寺にご本尊阿弥陀如来が祀られたことに他なりません。喜ばしいことも悲しいことも、この70年間すべてを見つめてこられたのはサンパウロの阿弥陀如来のみなのです。この事実に目を向ける時、私たちの感謝の念は新たなものとなります。幸いにもその後も教化活動拡充に至る道を歩めたことは阿弥陀仏のお導きであり、その加護なくしてこの度の70周年はあり得なかったでしょう。続いて、飯田台下はもう一つ、「娑婆訶(そわか)」と揮毫され、密教に多く見られる陀羅尼の末尾に添えられる聖なる語と説明されました。これは「幸あれ」「祝福あれ」「成就あれ」等を意味し、願いの成就を祈る言葉としてよく用いられます。「法然上人の教えがサンパウロ・マリンガ・イビウーナ・クリチバから広がり、ブラジル全土に念仏の声が響きわたらんことを!」飯田台下が「慈悲」と「娑婆訶」を揮毫されるお姿の内に、私たちの切なる願いが具現化されたかのように感じられました。

6月8日の早朝、クリチバで私たちは正にこの「慈悲」と「祝福」に恵まれたに違いありません。雨模様の朝が、お導師と稚児たちの行道が始まる直前、暖かな陽射しと共に突然晴天へと変わったのです。どんな言葉もこの時の気持ちを表すことはできません。太陽の慈しみのもと、新寺院建立を記念し建てられた3メートルほどの角塔婆に向かい、川中宗務総長が洒水の作法と共に仏天の加護を念じられました。庭儀式に続き、内装を終えたばかりでパラナ松の香りが溢れ、厳粛な雰囲気に包まれた本堂に進まれ、川中宗務総長は本尊阿弥陀如来の開眼作法を勤められました。約200名の参詣者全員の念仏の声と共に、私たちの4番目の寺院にご本尊が迎えられた様子には心が揺り動かされました。落慶法要のご垂示で飯田台下は「娑婆訶」の言葉に触れ、この新たな寺院が多くの「幸福」「祝福」「成就」に恵まれるよう念じて下さいました。

2025年に勝縁によって迎えたこの二つの宗教的な集会を慈しむと共に、私たちはサンパウロ・マリンガ・イビウーナ・クリチバで今後より多くの人々が称名念仏に取り組まれるよう、努力を続ける所存です。サンパウロとクリチバの二つの記念法会を経験して、私たちに残ったのは謙虚な心持ちです。すなわち、これからの道のりに「幸福」「祝福」「成就」という仏天の加護が待っているか否かは、すべてお念仏に対する私たちの主体的な取り組みいかんである、ということと思います。

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