ハリケーン・シーズンの到来ー ハリケーン「ダグラス」ハワイ諸島を接近通過
[その他] 2020/7/28
先週末よりコロナ禍で最初のハリケーン「ダグラス」がハワイへ接近し、ハワイ全島を通過、特にマウイ、オアフ、カウアイ島を一時直撃する可能性があり、各地に避難所が設置されるなどハリケーンから目が離せない展開となりましたが、幸い、7月26日、予想されたルートより北上を通過し直撃はさけられました。皆様にいろいろご心配をおかけしましたが、ハワイ州内で被害は確認されておりませんこと、ご報告させて頂きます。
ハリケーンと申しますと、巨大な気象現象を想像される方が多いように思いますが、正式名称は熱帯性低気圧、つまり台風と同じであることはあまり知られていないようです。台風もハリケーンも基本的には同じ現象なのですが、アジア寄りの太平洋で発生されるものを台風、メキシコ近く(大西洋、太平洋ともに)で発生するものをハリケーン、そしてインド洋で発生、発達するものをサイクロンと呼び分けています。
私はよくカウアイ島のネーチャー・ガイドで、この話をさせて頂きます。日本の台風は発生順に1号、2号と数字を用いる一方、ハリケーンは、発生順にアルファベットのABC順に名前が付けられています。たとえば、その年の最初のハリケーンはAから始まる名前、たとえばAnna(ハリケーン・アンナ)で、次はBで始まる名前Benjamin(ハリケーン・ベンジャミン)という感しです。一時期、女性の名前のみを使っていたようですが(「女性の怒り=ハリケーン」という気持ちも分からなくはないのですが、、)当然反対運動があって、現在は発生順に男女の名前を交互に使っています。今回、ハワイに接近し「ダグラス」と命名されたハリケーンは、ABCDのDになりますので、今年4番目に発生したことが分かるのです。
ちなみに、ハワイで歴史的被害のあった1992年9月11日にカウアイ島を直撃したハリケーンの名前は「Iniki(イニキ)」で、その年の9番目に発生したことが分かります。この時のハリケーンのカテゴリーはなんと4(今回のダグラスは1)という巨大なもので、一般の家は勿論、海岸線にあった大きなホテルが倒壊するほど被害は甚大なものでした。コロア、カパアの両寺院も大きな被害を受けています。余談ですが、この時、カウアイ島では映画「ジュラシックパーク」が撮影されており、この時のハリケーンが、映画の中の嵐のシーンのアイディアとして急遽生かされたそうです。「イニキ」以来、カウアイ島には、このハリケーン被害の経験が、共有、語り継がれ、今日にも「ハリケーンへの備え」として生きていますので、そのうち、今回私が実践したことを紹介させて頂きたいと思います。
- 停電対策
ハリケーンの被害で一番困ったのは停電であった、と多くの人が異口同音に言っておられました。とりあえず、誰でもすぐに実践できることは、さまざまな電気機器のバッテリーをチャージし、フルな状態にすること。また、ジェネレーターに必要なガソリンの確保。そして、冷蔵庫や冷凍庫が電気がなくなると機能しませんので、多くの人が氷を確保しています。私は、即席「氷」として、水のボトルを丸ごと凍らせました。凍ったものが少しでも多くあれば、冷蔵機能を長らかせることができると思います。
- 洗濯
電気が使えなくなると当然、洗濯が困難になります。ですので、少量でも汚れものはすぐに洗って、ハリケーンの被害があった時に洗い物がない状態が望ましいと思います。
- 貯水
ハリケーン・イニキ時に断水があったそうで、飲み水の支給は被害後割とすぐにあったそうですが、生活用水、たとえばトイレの水を流すときに使う水が不足していたと聞いています。ですので、リサイクル用ボトルを入れる大きな容器などに、水をためました。しかし、ハリケーンがきますと自ずと大雨になりますので、水を入れる割合は3分の1程度にし、水代を節約。残りの水は、屋根から流れ落ちる水でたまるように、配置を工夫しました。
- 車用のガソリン調達
ハリケーンの被害があった時に、ガソリンの供給がとまる可能性があります。車は移動に必要ですので、ガソリン満タンの状態にしておきました。
- 懐中電灯の電池の確認
これも停電に関係することですが、夜停電したときを想定し、いつでも懐中電灯が使える状態を確認します。ラジオは、車でもつかえるので特に必要はないと思います。
- BBQグリルの用意
これも万が一の時に備えてのことです。ガスが止まった時、いつでも調理に困らないようにチャコールを調達し、セットしました。
- 植木鉢や風に飛びやすいものの避難
プラスチックの軽い植木鉢は簡単に風で吹き飛んだと聞いていますので、建物の陰に避難させました。数えてはいないのですが、趣味と実益をかねて栽培している、ものすごい数の植木鉢を移動させました。この作業が一番大変でした。
- 窓対策
近所の家の多くは、窓にベニヤでふさぎ、割れないよう対策を施しておられましたが、場所と構造によっては、スライド窓を半分開けることで、風をふさぐのではなく、通過させることが重要だと知りました。なるほど、窓を半分開けて、半分しめることは、仏教でいうところの中道にあたり、まさに仏教の教えが実社会に生かされているよい例だと感心を新たにいたしました。
コロア浄土院の目の前にありますスーパーマーケットは、ハリケーンの備えとして日没前に閉店。この時点では、カウアイ島を直撃する可能性がありましたので普段にぎやかな街から人影が消えました。幸運なことに、ハリケーンが島を避けて北上し、どの島でも被害がなくて本当によかったです。
私はMyRadarという気象レーダーのアプを日常的に使っておりますが、
これはものすごい便利なアプで、世界の気象状況(地震などの災害含む)をライブでみることができ、興味のある地域の地図を任意に拡大し、詳細な情報を得ることができます。
気象レーダー図の中に示されている色によって、赤色は、雷雨、黄色は激しい雨、緑は雨と降雨状態を一目瞭然で知ることができますので、普段でも、島内を移動の際、どこの地域が晴天で、どのあたりが雨が降っているか分かるのです。
最後にもうひとつ、ハリケーンの接近する中、昨日は、カパア浄土院の施餓鬼、盆法要が予定されておりました。
前夜、欠航ギリギリのタイミングで、ホノルルより帰島することができたものの、ハリケーンが直撃する可能性があり、開催か中止かとても迷いました。
しかし、ハワイ島コナから来られているご家族が法要に参列されたい旨、電話連絡があり、最終的に開催を決断。ライブストリームで放映致しました。
これで日曜日の礼拝・法話は、3月22日から19週連続してネット公開しております。ネットで参加される人数は多くはありませんが、
いつも楽しみにされている、と遠方からメールやコメントを頂き、大きな励みとなっております。来週以降も、できる限り続けていく所存です。